育児中の働き方 – 会社は何を用意するの?やさしいQ&A


医療関係者・元年金相談員のいる社労士事務所◆オフィス・スマート

育児中の働き方について、令和7年10月1日から会社に新しい義務ができました。それが「柔軟な働き方を実現するための措置」です。この記事の「育児中」は、3歳から小学校就学前の子を養育している時期を指します。架空の会社の担当者が相談室を訪れた場面を、会話で紹介します。実際の相談内容ではありません。会社は従業員30名の製造業で、交替制の製造現場と事務部門があります。根拠は、育児・介護休業法と同法施行規則、厚生労働省のQ&A(令和7年9月24日時点)です。各話の最後に、詳しい解説記事への案内を付けました。

3歳からの育児中の働き方:会社が用意する措置

相談者
相談者

2歳の子を育てる社員から、「3歳を過ぎてもフルタイムで働きたい」と相談されたんです。会社は何を用意すればいいでしょうか?

社労士
社労士

3歳から小学校就学前の子を養育する社員には、5つの措置から2つ以上を講じることになります。社員は、その中から1つを選んで利用できます。根拠は、育児・介護休業法第23条の3第1項です。

社労士
社労士

育児中の働き方を支える5つの措置は、始業時刻等の変更、テレワーク等、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇、短時間勤務制度です。主な要件は、図1にまとめました。

(図1)

育児中の働き方を支える5つの措置:2つ以上を選ぶ全体像(措置ごとの主な要件)

詳しくは、解説記事のQ1をご覧ください。

措置の選び方で迷いやすい2つの点

相談者
相談者

うちは時差出勤とフレックスタイム制がもうあるんです。これで2つになりますよね?

社労士
社労士

いいえ、なりません。どちらも「始業時刻等の変更」の中の制度なので、両方あっても1つの措置です(同法施行規則第75条の2)。

社労士
社労士

ただ、すでにある制度を、措置として選ぶことはできます。その場合も、講じる前に、過半数労働組合(なければ労働者の過半数を代表する者)の意見を聴く必要があります(同法第23条の3第4項)。

社労士
社労士

なお、フレックスタイム制は、総労働時間を清算期間の所定労働日数で割った時間が1日の所定労働時間と同じになるものに限ります。時差出勤は、保育所等への送迎の便宜等を考慮した制度である必要があります。

※すでにある制度を措置とする場合も、上記の要件を満たしていることが前提です。詳しくは、解説記事のQ2・Q3をご覧ください。

相談者
相談者

現場は交替制で、テレワークはできません。育児中の働き方の措置を、職種ごとに変えてもいいですか?

社労士
社労士

変えても差し支えありません。Q&Aは、事業所単位や職種ごとに措置してもよいとしています。ただし、職種や配置等から利用できないことがあらかじめ想定できる措置を講じても、措置義務を果たしたことにはなりません。

社労士
社労士

Q&Aは、交替制勤務の職場で、テレワーク等が業務の性質上困難な労働者については、他の4つの措置から2つ以上を選んで措置することが求められるとしています。

詳しくは、解説記事のQ5をご覧ください。

育児中の働き方:社員への個別周知と申出の期限

相談者
相談者

措置を決めたら、社員にはどう伝えればいいですか?

社労士
社労士

子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間に、個別に知らせて意向を確認します。知らせるのは、措置の内容、申出先、所定外労働・時間外労働・深夜業の制限に関する制度です。

社労士
社労士

方法は、面談、書面の交付、FAX、電子メール等のいずれかです(FAX・電子メール等は、労働者が希望した場合のみ)。根拠は、同法第23条の3第5項と同法施行規則第75条の8です。

詳しくは、解説記事のQ7をご覧ください。

相談者
相談者

利用の申出は「1か月前まで」と決めてもいいですか?

社労士
社労士

実は、申出の期限には、法律上の定めがありません。「1か月前まで」としてよいかは、Q&Aは示していません。

社労士
社労士

期限を決めるなら、就業規則等であらかじめ明らかにしておく必要があります。労働者に過重な負担を求めないよう、配慮して定めることが必要です。

社労士
社労士

また、Q&Aは、過度に煩雑な手続や早すぎる期限など、措置の適用を受けることを抑制し、法律が措置を義務づけた趣旨を実質的に失わせる手続は、許容されないとしています。

詳しくは、解説記事のQ9をご覧ください。

育児中の働き方を支えるこの措置では、講じる前の意見聴取と、子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間に行う個別の周知・意向確認は、どちらも法律で定められた手続です。

当事務所では、就業規則・育児介護休業規程の見直しや、措置の選び方、意見聴取・周知の運用について、ご相談をお受けしています。判断が分かれる点は、お問い合わせください。

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本記事は、2026年10月4日時点の公的資料にもとづいています。

※本文中の「同法」は育児・介護休業法、「同法施行規則」は育児・介護休業法施行規則を指します。

参考(公的機関の資料)

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