サイトアイコン オフィス・スマート 京阪くずは男山社会保険労務士事務所

10月からの社会保険適用拡大における実務上のポイント

2022(令和4)年10月からの社会保険の適用範囲が100人超の事業所に拡大。実務上のポイントは?

適用範囲拡大におけるポイント

■企業規模要件

従業員数のカウントについて

社会保険の加入対象になるのは,次の①②の者です。
①通常の労働者(=正社員)
②正社員と比べ、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が4分の3以上
ここでは,①と②を合わせて「4分の3基準」といいます。

多くの事業所では,①正社員は1週間の所定労働時間は40時間,②は30時間となっています。

さて,今回の適用範囲拡大で「100人超」といわれていますが,この「100人超」というのは,1週間の所定労働時間が上の「4分の3基準」を満たす者の人数を指します。よって「4分の3基準」に該当しない者は含まれません。

事業所によっては,100人を超えたり100人以下になったりという場合があるかと思います。
そういった場合はどうなるのでしょうか?

従業員数が100人を境に上下する場合は,月ごとに従業員数をカウントし,直近12カ月のうち6か月で従業員が100人を超えていると適用対象としています。

なお,上記で一度適用対象となった事業所は,従業員数が100人以下になっても引き続き適用される。
適用事業所を脱退するためには,同意対象者の3/4以上で組織する労働組合又は同意対象者の3/4以上が同意し,事業主が申請して厚生労働大臣(日本年金機構)の認可を受ける必要があります。
※同意対象者:4分の3基準を満たさない短時間労働者を含む及び70歳以上の使用される者の3/4

また,従業員数をカウントする単位は以下の通り。

 ・法人又は同一の法人番号を有する全適用事業所単位
 ・個人事業所の場合は個々の適用事業所単位

■所定労働時間要件

週所定労働時間が20時間以上の者が加入対象となる。
(雇用保険の取扱いと同じ)

「週所定労働時間」とは,就業規則,雇用契約書等により、その者が1週間に勤務すべき時間。

所定労働時間が「週」で決まっていないときは?

いくつかのパターンに沿って説明します。

 ①1カ月で定められている場合:1年間の所定労働時間を計算し,1年間の週数(52週)で割って1週間の所定労働時間を求める。
  ⇒1か月の所定労働時間 × 12 ÷ 52
 ②1年単位で定められている場合:1年間の週数(52週)で割って1週間の所定労働時間を求める。
  ⇒1年の所定労働時間 ÷ 52
 ③1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合
  ⇒平均して求める

週所定労働時間20時間未満の者が,残業等で実質的に週20時間以上の勤務を続けるとどうなるのか?

所定労働時間週20時間未満の者が,業務都合等により恒常的に週20時間以上となったときは、連続する2月においてひきつづき同様の状態が続いている,または続くことが見込まれる状況となれば実際の労働時間が週20時間以上となった月の3月目の初日に被保険者資格取得となる。
⇒ 3月目の初日に加入となる。

■学生要件

原則,学生は適用対象外。

※ここでいう「学生」は,週所定労働時間20時間以上~4分の3基準を満たさない学生に係る基準。4分の3基準を満たす学生は一般と同じ。

「学生」とは?

大学,高等学校,専修学校,各種学校(修業年限が1年以上の課程に限る)等に在学する生徒又は学生。
その他,厚生年金保険法施行規則第9条の6に列挙されている学校が対象。
◆厚生年金保険法施行規則 | eGov法令検索【別ウィンドウが開きます】

例外:
・卒業見込証明書を有し,卒業前に就職し,卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の者
・休学中の者
・大学の夜間学部及び高等学校の夜間等定時制の課程の者など

■勤務期間要件(撤廃)

10月からの適用範囲拡大に合わせ撤廃された要件。今後は一般労働者と同様の基準が適用される。
(勤務期間1年以上の要件が撤廃され,雇用期間の見込み2カ月超で適用対象となる)

雇用期間が2カ月以内でも適用となる場合があります。

① 就業規則,雇用契約書等において,その契約が「更新される旨」または「更新される場合がある旨」が明示されている場合

② 同一事業所において,同様の雇用契約に基づき雇用されている者が更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合など,雇用期間2カ月以内の場合であっても,当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれる者については当初から適用される。

※①②いずれかに該当するときでも,労使双方により,最初の雇用契約の期間を超えて雇用しないことについて合意しているときは,雇用契約の期間を超えることが見込まれないとして取り扱う

・  ・  ・  ・  ・


くわしく知りたい! ➡ そんなときは,お近くの社労士へ!

★★★当社労士事務所へのお問い合わせはコチラから【別ウィンドウが開きます】

社会保険労務士(社労士:シャロウシ)は,労働・社会保険に関する法律の専門家であり,国家資格者です。人を大切にする企業づくりの支援をしています!

※あらかじめご承知おきください※
このblog記事の内容は,執筆時の法令等に基づいて記載しています。執筆時以降の法令改正等により,適用が変更となる場合があります。
記事執筆にあたり,正確な記述に努めていますが,当該記事内容に対して何らかの保証をするものではなく,内容や事例に基づくいかなる運用結果に関しても一切の責任は負いません。
また,給付金・補助金等は,支給要件や申請期間等条件を満たす必要があり,100%受けられるものではなく,もらえない場合もあります。
当サイトのご利用規約はこちら

1st Upload 2022.09.15 No.5921

Keyword
#社会保険適用拡大,#100人超,#適用範囲,
#社会保険労務士,#社労士,#オフィススマート,#京阪くずは男山社労士事務所 

モバイルバージョンを終了