厚生年金とはどんなものか? 基礎知識の解説。
厚生年金の目的
厚生年金は,労働者の老齢,障害または死亡について保険給付を行い,労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的としている。
↑にある通り「保険給付」がなされることから,正式には「厚生年金保険」という。
厚生年金保険の給付
- 老齢に関する給付:老齢厚生年金
年金を受けるための資格期間が10年以上ある場合に,65歳から受け取ることができる年金。 - 障害に関する給付:障害厚生年金
病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に,受け取ることができる年金。 - 死亡に関する給付:遺族年金
国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなったとき,その方によって生計を維持されていた遺族が受け取ることができる年金。
※それぞれ給付を受けるための要件があります。
厚生年金保険の加入者
厚生年金保険の加入者(=被保険者)になる人は,厚生年金保険の適用される事業所(=適用事業所)に常時使用されている70歳未満の人です。
(国籍や性別は,加入条件に関係ありません)
ただし,次にあてはまる人は,厚生年金の被保険者とされません。
- 日々雇入れられる人
ただし,1カ月を超えて引き続き使用されるようになった場合は,その日から被保険者となる。 - 2か月以内の期間を定めて使用される人
ただし,所定の期間を超えて引き続き使用されるようになった場合は,その日から被保険者となる。 - 所在地が一定しない事業所に使用される人
- 季節的業務(4カ月以内)に使用される人
ただし,継続して4カ月を超える予定で使用される場合は,当初から被保険者となる。 - 臨時的事業の事業所(6か月以内)に使用される人
ただし,継続して6カ月を超える予定で使用される場合は,当初から被保険者となる。
パートタイムやアルバイトは?
常時使用されていない,パートタイムやアルバイトは,次の条件にあてはまると「被保険者」になります。
(加入するかどうか選べるわけではなく,強制加入)
その事業場で同様の業務に従事している正社員の1週間の労働時間および1か月の所定労働日数の4分の3以上である場合
※ただし,一般社員の4分の3未満であっても,以下のすべてに該当する場合は,被保険者になります。
- 週の所定労働時間数が20時間以上であること
- 雇用期間が1年以上*1見込まれること
- 賃金の月額が8.8万円以上であること
- 学生でないこと
- 厚生年金保険被保険者が常時501人*2以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること
(常時500人以下の企業でも、申出によって「任意特定適用事業所」である企業に勤めていること)
*11年以上:2022(令和4)年10月からは「2カ月を超えて」に変更になります。
*2501人以上:2022(令和4)年10月からは「101人以上」に,2024(令和6)年10月からは「51人以上」に変更になります。
| 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)【別ウィンドウが開きます】
働いているところが,健康保険が適用されている事業所かどうか調べるには?
日本年金機構のサイトで検索ができます。
厚生年金保険料
厚生年金保険の保険料額は,以下の式で求められる。
■毎月の保険料額
厚生年金保険料(従業員負担額) = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率 × 1/2
※標準報酬月額は,簡単に言うと税控除前の給与額の区分のこと。1~32等級まで区分されている(2020(令和2)年9月時点)。
※厚生年金保険料率は18.3%(2017(平成29)年9月まで段階的に引上げされてきて,2017(平成29)年9月からは18.3%で固定されている)。
■賞与の保険料額
厚生年金保険料(従業員負担額) = 標準賞与額 × 厚生年金保険料率 × 1/2
※標準賞与額は,賞与の額から1,000円未満の端数を切り捨てたもので,上限は150万円。
例◆税控除前の給与額20万円の場合の労働者の厚生年金保険料
20万円 × 18.3% × 1/2 = 18,300円 ※2020(令和2)年12月時点の場合
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1st Upload 2022.03.12 No.5734
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