悪性新生物―いわゆる『がん』による障害
・国立研究開発法人国立がん研究センターの『最新がん統計』によると、日本人が一生のうちに、『がん』と診断されるのは、2人のうち1人といわれている(2018年データに基づく)。
・とりわけ男性に至っては、65%となっており、女性の50.2%よりもはるかに高い数値となっている。
・万一、『がん』に襲われ、働くことができなくなった時の生活の支えとして、障害年金を活用したい。
■認定基準
○認定基準
令別表 | 障害の程度 | 障害の状態 |
---|---|---|
国年令 別表 | 1級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの |
2級 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの | |
厚年令 別表第1 | 3級 | 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの |
組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考として、具体的な日常生活状況等により、総合的に判断する。
○認定要領
・悪性新生物は、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々であり、それによる障害も様々である。
・悪性新生物の検査には、一般検査の他に、組織診断検査、腫瘍マーカー検査、超音波検査、X線CT検査、MRI検査、血管造影検査、内視鏡検査等がある。
・悪性新生物による障害の区分
ア 悪性新生物そのものによって生じる局所の障害
イ 悪性新生物そのものによる全身の衰弱または機能の障害
ウ 悪性新生物に対する治療の結果として起こる前身の衰弱または機能の障害
・悪性新生物による障害の程度
(一般状態区分表)
区分 | 一般状態 |
---|---|
ア | 無症状で社会生活ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの |
イ | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など |
ウ | 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの |
エ | 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力で屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
オ | 身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの |
(各等級に相当すると認められるものの一部例示)
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 著しい衰弱又は障害のため、一般状態区分表のオに該当するもの |
2級 | 衰弱又は障害のため、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの |
3級 | 著しい全身倦怠のため、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの |
・悪性新生物そのものによるか又は悪性新生物に対する治療の結果として起こる障害の程度は、それぞれの認定要領により認定する。
・全身衰弱と機能障害とを区別して考えることは、悪性新生物という疾患の本質から、本来不自然なことが多く、認定に当たっては組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像診断等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。
・転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係があるものと認められる。
■診断書
上述の通り、悪性新生物は、全身のあらゆる臓器に発生し、障害も異なるため、それぞれの部位や症状に応じた診断書を提出することが重要。
○診断書の種類
・眼の障害用(様式第120号の1)
・聴覚、鼻腔機能、平衡機能、咀嚼、嚥下機能、言語機能の障害用 (様式第120号の2)
・肢体の障害用(様式第120号の3)
・精神の障害用(様式第120号の4)
・腎疾患、肝疾患、糖尿病の障害用(様式第120号の6-2)
・血液、造血器、その他の障害用(様式第120号の7)
・腫瘍の摘出、人工臓器、治療の副作用等により、局所の障害が生じている場合には、それぞれ該当する基準により認定が行われる。➡使用する診断書は、障害部位、酒類、病態により異なる。
・悪性腫瘍そのもの、または治療の副作用による全身衰弱や機能障害は、総合的な認定となる。
・上記のどちらもある場合は、複数の診断書を提出することによって、併合認定となる可能性あり。
▶悪性腫瘍による局所障害の例
・眼球摘出 目の障害
・咽頭全摘出 音声又は言語機能の障害
・肢体の切断 肢体の障害
・器質性精神障害 精神の障害
・人工肛門造設 その他の障害
○診断書のチェックポイント
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1st Upload 2020.09.23 No.5564
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