36協定のキソ。

「36(サブロク)協定」とは?どうして「36」なの?

人事関係の部署では,人事年度の年度末から年度がはじまるまでに,「36協定を締結して,労基署に36協定届出を出して・・・」という,話がでてきます。

労働時間のキホン

36協定の前に,労働時間について,少し。

労働時間は,1日8時間まで,1週間40時間まで。
労働基準法 第32条で,この時間(法定労働時間)を超えてはならないと決められています。

(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない

労働基準法(昭和22年法律第49号)

【コラム的なモノ】?なぜ,1日8時間なの? 
⇒ イギリスで1817年に,1日8時間労働を目標としたことが,はじまり。
当時のスローガン「Eight hours labour, Eight hours recreation, Eight hours rest(仕事に8時間を、休息に8時間を、余暇(自由時間)に8時間を)」がわかりやすい。
近代以前は超長時間労働が世界共通標準で,1日8時間労働に至るまでのプロセスは,各国における先人たちの凄まじい努力のたまものであった。
なお,1日8時間労働は,ILO(国際労働機関)1号条約第1条に規定されている。

法律的に残業ができるしくみ

でも,実際には,残業もあるし,休日出勤だってやるけど・・・
コレって,違法なのでは?

そんなことはありません!
先ほどの労働基準法の別の条文によって,残業や休日労働ができるようになるのです。

毎日毎日8時間ちょうどで仕事が終わるっていう会社は,ほとんどないでしょう。
特にお客さん相手の仕事だと,まずないでしょう。
残った仕事を次の日に回すということも難しいですし,残業や時には休日出勤しないと,会社の業務が回らなくなってしまいます。

労働基準法では,そんなときのルールを定めています。
ホントは(労働基準法 第32条によって),残業や休日労働はやってはダメなんですが,「あること」をすることによって,残業や休日出勤を許可してもらえます。

「あること」・・・このプロセスが,この文章の一番はじめにある,「36協定を締結して,労基署に36協定届出を出して・・・」です。

「36協定」とは?どうして「36」なの?

残業や休日労働をするために必要な「36協定」,正式には「時間外労働・休日労働に関する協定」といって,会社で,労働者を残業や休日労働をさせるには,準備しておかなければならない,と法律に定められています。
それが,労働基準法 第36条にあたります。第「36」条で決められているので,「36」協定です

労働基準法 第36条によって,残業や休日労働ができるようになるのです。

(時間外及び休日の労働)
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。(以下略)

労働基準法(昭和22年法律第49号)

労働基準法 第36条は,残業と休日労働のルールを定めたものです。
ホントは,残業や休日労働はやってはダメなんですが,36条によって,ホントはダメだけど,36協定の手続きをして,OKにしてもらっているのです。
これを法律のコトバで言うと「免罰効果」。

○「36協定」とは,原則で禁止となっている残業や休日労働を,できるようにするための必要な手続き。

NEXT36協定の手続きについて。

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特集・36協定

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1st Upload 2021.12.03 No.5635

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