記載例:様式第9号 限度時間以内で時間外・休日労働を行わせる場合(一般条項)
▲クリックすると、別のウィンドウが開きます。(出典:厚生労働省ホームページより)
労基法で定める上限時間の範囲内で,時間外・休日労働を行わせる場合には,この様式を使用。
臨時的に特別事情があって,上限時間を超える場合があると想定されるときは,特別条項付きの36協定にする必要があります。
◆特別条項付36協定についてはコチラ ▶ 36協定(特別条項つき)の作成上の注意点
協定書と協定届
■「36協定書」と「36協定届」について
○36協定書
労基法第32条の2に基づいて,使用者と労働者の過半数代表者の間で成立した協定を締結するための書式。
協定書について,協定書に定めなければならない項目は規定されているが,様式の指定はない。3年間の保管義務がある。
書面には,使用者と労働者の過半数代表者双方の署名又は記名押印して締結する。
○36協定届
労使の間で締結した協定を労基署に届け出るための書式(様式第9号)。
使用者が署名又は記名押印し,所轄の労基署長に届出を行う。
届出書の様式について,必要事項が記載されているものであれば,異なる様式でも差支えなし。
協定書と同様に,3年間の保管義務がある。
協定書と協定届をひとつにまとめることも可能。その場合は,労働者の過半数代表者の署名又は記名押印が必要。
3セット作成し,1セットを労基署に提出,1セットを使用者の控え,1セットを労働者側の控えにする。
協定の内容は,労働者への周知が必要。書面の配布や事業場に掲示する等,いつでも確認することができる状態にしておかなければならない。
事業の種類 と 事業場
特に「この表を見て選択」といったことは定められていませんが,
行政機関によっては,「日本標準産業分類」での選択するよう求めている場合があります。
◆「日本標準産業分類」についてはコチラ ▶ 日本標準産業分類(総務省のHP) 【別ウインドウが開きます】
なお,「事業の種類」,後述の「業務の種類」によっては,2019年4月からの改正労基法で適用除外となっている業種・業務があります。
- 2019年4月の改正労基法で適用除外となっている業種・業務
- 建設事業
- 自動車運転の業務
- 医師
- 鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業
◆時間外労働の上限規制についてはコチラ ▶ 時間外労働の上限規制について
※協定の締結単位は,事業場単位で締結し,所轄の労基署に届け出る必要があります。
協定の有効期間
有効期間の長さについて,時間外労働の協定において,必ず1年間について延長時間を定めなければならないことから,最低でも1年間となります。
1年以上なら最長はどこまでもOKというわけでなく,「定期的に見直しを行う必要が考えられることから,有効期間は1年間とすることが望ましい」とされている。
■起算日について
1年間の上限期間を計算する際の起算日。
時間外労働をさせる必要のある具体的事由 と 業務の種類
ここは,ある程度「具体的に詳細を」想定して記入しておかないといけません。
ぼんやり・アバウトな内容,抽象的な内容ですと,
「容易に対象業務が拡大されてしまう」と捉えられて,指導の対象になってしまいます。
36協定は,労基法上「時間外・休日労働原則禁止」を例外的に免罰させるしくみですので,
この考え方を念頭に「時間外・休日労働は極力抑える」ようにしていかなければなりません。
「どのような事由」で,「どういった業務」をさせるのか?
ココをきちんと整理して,絞り込んでいくようにしましょう。
労働者数
ここも記載モレの指摘が多い部分です。
人数は,「業務の種類」に記載した,業務に従事するパート・アルバイトを含むすべての労働者の人数です。
ただし,「管理監督者」は含みません。
協定の有効期間内に労働者数の変動が見込まれる場合は,それも考慮に入れておく必要があります。
36協定届で重要なポイントのひとつ。
労働者代表が,「管理監督者」にあたる場合,労働者代表になれない。
会社内の名称に関わらず,実質的なトコロで判断されます。
労基署で判断できない場合,問合せが入ることがあります。
判断が難しい職名の場合,注釈を入れておくといいでしょう。
「管理監督者」の考え方については,コチラ ➡ 労基法での「管理監督者」って誰のこと?
延長することができる時間数
記入欄にも記載されていますが,法に定められた上限時間を超えていないか?
2019年4月からの改正労働基準法で,時間外労働の上限時間が設定されています。
必ずチェックされる部分ですので,記載内容の確認が必要です。
上限時間を超えていると,確実に指導対象に該当します。
1箇月の上限は,45時間まで(1年変形の場合42時間まで)
1年の上限は,360時間まで(1年変形の場合320時間まで)
臨時的に特別事情があって,上記の時間を超える場合があると想定されるときは,特別条項付きの36協定にする必要があります。
◆特別条項付36協定についてはコチラ ▶ 36協定(特別条項つき)の作成上の注意点
◆時間外労働の上限規制についてはコチラ ▶ 時間外労働の上限規制について
協定の成立年月日
当然のことながら,「協定の有効期間」「届出年月日」との関係を押さえておかないといけません。
「協定の有効期間」「届出年月日」 よりも前の日付にしておく必要があります。
日付の順序は,手続きの流れから必然的に以下の順序になります。
①協定成立 → ②協定の届出日 → ③協定の有効期間開始日
なお,36協定は,有効期間の開始日から有効になりますが,労基署に届出ないと,有効にはなりません。
有効期間が開始している場合,労基署に届け出た日から有効になります。
例えば,有効期間が2022年4月1日から1年間,労基署に届け出たのが,同年4月10日の場合,4月10日から有効となります。
上記の場合,同年4月1日から9日までに時間外労働や休日労働をさせた場合,労基法違反となってしまいます。
提出する36協定届に不備があって,再提出となる場合も想定し,余裕をもってスケジュールを組むようにしましょう。
協定の当事者
■労働者代表の職名 欄
36協定届で重要なポイントのひとつ。
労働者代表が,「管理監督者」にあたる場合,労働者代表になれません。
「管理監督職」の判断は,会社内の名称に関係なく,実質的なトコロで判断されます。
労基署で判断できない場合,問合せが入ることがあります。
判断が難しい職名の場合,注釈を入れておくといいでしょう。
「管理監督者」の考え方については,コチラ ➡ 労基法での「管理監督者」って誰のこと?
■従業員代表の署名・捺印 欄 ; 押印モレに注意!
従業員代表者の氏名欄に,自署(手書き)する場合は,捺印不要。
PC等で作成し,氏名を印字している場合は,捺印が必要。
行政のホームページの様式に,『印』が記載されていないので,注意。
■協定の当事者の選出方法
ココも36協定届で重要なポイントのひとつ。
「投票」や「挙手による信任」「労働者の話し合い」など,労働者の自主的な選出方法であることが必須。
「会社による指名」など,上記の趣旨に反する場合,無効とされ,改善・再提出など求められます。
※「持回り」などでもOK。民主的な手続きで選出され,労働者の過半数が当事者を支持していることが必要。
※当事者の選出にあたっては,パートやアルバイトなど,すべての労働者が手続きに参加すること。
■チェックボックス について
上記の協定当事者の有効性を担保するため,協定当事者であることの確認,管理監督者でないこと,選出方法等の確認として,チェックボックスに「レ」印をもれなく入れておく。
PC等で前年度のデータを再利用する場合
年の表記が更新されているか?
PCで届出を作成する場合,前年度データを再利用して…ということもありますが,
よくあるミスに,年度表記をそのままにしていることが多々あります。
例えば,令和4年の届出を作成する際,年の表記が前年(令和3年)のママ…
こういうところをキチンと押さえておかないと,
「管理が甘い」会社と見られてしまいかねませんので,要注意です。
※労基署窓口で届出の際に指摘事項があった場合,その場で記入(または修正)を行わないように注意!
協定内容の追加または修正となる場合があり,当事者の一方が勝手に変更してしまうと,協定の意味をなさなくなります。
届出前に書面を十分に確認しておくことが重要です。
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くわしく知りたい! ➡ そんなときは,お近くの社会保険労務士をご利用ください。
社会保険労務士(社労士:シャロウシ)は,労働・社会保険に関する法律の専門家,国家資格者です。
社会保険労務士について(全国社会保険労務士連合会のページへ)
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1st Upload 2021.12.27 No.5659
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