労働生産性を向上させるためには?

我が国の労働生産性の低さについて報道等で取り上げられています。
今後,働き手の不足がさらにすすんでいくと予想されるなかで,どのようにしていけばいいのでしょうか?

労働生産性とは

財務省によると,従業員一人当たりの付加価値額を言い,付加価値額を従業員数で除したものです。労働の効率性を計る尺度であり,労働生産性が高い場合は,投入された労働力が効率的に利用されていると言えます。

式で表すと,以下の式で求められます。

労働生産性(円) = 付加価値額*1 ÷ 従業員数 × 100

*1付加価値額とは,
 付加価値額 = 人件費 + 支払利息等 + 動産・不動産賃借料 + 租税公課 + 営業純益*2

*2営業純益とは,
 営業純益 = 営業利益 - 支払利息

◆キーワードで見る法人企業統計「労働生産性」 – 財務総合政策研究所|財務省HP【別ウィンドウが開きます】
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/keyword/keyword_04.htm

労働生産性を向上させるには

上の式から,分子の「付加価値額」を上げて,分母の「労働者数」を下げる取り組みが必要となってきます。

その取り組みとは,以下の5つの要因に対する取組が必要と考えらます。

■教育・研修の充実
労働者のスキルアップや知識・技能の向上を図ることで,業務効率化や品質向上などにつながることが期待されます。
教育・研修は,職場内での研修や外部の専門機関の利用など,様々な方法で実施することができます。

■技術・装置の改善
生産現場において,設備や装置の更新・改善を行うことで,作業効率や品質向上につながります。
また,最新の技術を導入することで,業務の効率化や新しい商品の開発にもつながることが期待されます。

■プロセスの改善
業務プロセスを見直し,無駄を省くことで,業務効率化や品質向上につながることが期待されます。
具体的には,作業工程の見直しや,情報共有の改善などが挙げられます。

■労働環境の改善
労働環境の改善により,労働者の健康やモチベーションの向上が期待されます。
労働者が働きやすい環境を整備することで,労働者のストレス軽減や職場離れの防止につながることが期待されます。

■マネジメントの改善
管理職やリーダーの能力向上により,労働者のモチベーションの向上や,労働者とのコミュニケーションの改善が期待されます。
マネジメントの改善により,職場全体の生産性向上につながることが期待されます。

これらを単独ではなく,複数で組み合わせることによって,より効率的に生産性の向上につなげていきます。

業務効率化と生産性向上のちがい

業務効率化と生産性向上は、両者ともに企業の業務を改善し、より効果的に行うための取り組みですが、その目的やアプローチには違いがあります。

業務効率化は、業務プロセスを改善し、作業時間やコストを削減することを目的としています。例えば、タスクを自動化することで、人間が手作業で行っていた業務をより迅速かつ正確に処理することができます。また、業務の分業や専門化によって、効率的に作業を進めることもできます。業務効率化は、生産性向上につながることがありますが、単に時間やコストの削減が目的となる場合もあります。

一方、生産性向上は、ある期間における生産量を使用された労働力の量で割り、労働生産性を向上させることを目的としています。生産性を向上させることで、同じ労働力でより多くの付加価値を生み出すことができます。例えば、製造業であれば、機械の更新や生産ラインの改善によって、製品の生産量を増やしたり、製品の品質を向上させたりすることができます。また、サービス業であれば、顧客のニーズに合わせたサービス提供や、サービスの追加価値を創出することで、顧客満足度を向上させ、顧客ロイヤルティを高めることができます。

つまり、業務効率化は業務プロセスの改善によって時間やコストの削減を目指すものであり、生産性向上は生産量の向上や付加価値の向上に焦点を当てたものであると言えます。ただし、両者は密接に関連しており、業務効率化によって生産性向上が可能になることがあるため、両方の取り組みを同時に行うことが重要です。

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1st Upload 2023.05.05 No.6153

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